髙田 幸宏 (たかだ ゆきひろ)

STAT公認アレクサンダーテクニーク教師・博士(理学)

英国アレクサンダーテクニーク教師協会(STAT)認定・アレクサンダーテクニーク教師。

楽器(クラリネット)演奏時に起こる指の運動障害(局所性ジストニア)の改善を目指す過程でアレクサンダーテクニークに出会う。2018年秋に初めてレッスンを受ける。レッスン後に出した音の豊かさ、演奏の楽さに衝撃を受けレッスンの受講を続ける。

2020年11月、指の問題の更なる改善とアレクサンダーテクニークの深遠への興味からアイルランドに渡り、アレクサンダーテクニークセンター(The Alexander Technique Centre, Ireland)にて教師養成コースに参加。リチャード・ブレナン(Richard Brennan)の下、アレクサンダーテクニークの原理と実技を学び、首・肩・腰・股関節の痛み、坐骨神経痛などの身体不調や、不安症、あがり症、トラウマなどの精神・情動的不調、呼吸・発声・演奏・パフォーマンスなどの改善を目指して訪れた人々とのワークを通じて研鑽を積む。

2024年2月末に教師養成コースを修了。コースでの学びを通じて、指の運動障害を克服する。2024年4月よりSTAT認定アレクサンダーテクニーク教師として活動を開始する。

筑波大学大学院数理物質科学研究科・博士後期課程修了。博士(理学)。

STAT Website: https://alexandertechnique.co.uk/users/y-takada

私とアレクサンダーテクニーク

私が初めてアレクサンダーテクニークに出会ったのは、クラリネットを吹いていて左手の小指に問題があり、解決策を探していたときのことでした。『音楽家のためのアレクサンダー・テクニーク入門 (原題 : Pedro de Alcantara: "Indirect Procedures: A Musician's Guide to the Alexander Technique")』という本を本屋で偶然見つけて購入したのがきっかけです。しかし、一生懸命読んだものの何が書いてあるのかを芯からは理解できず、あまりピンとこなかった。その後、しばらくその本の存在を忘れてしまっていました。クラリネットを持って初めてアレクサンダーのレッスンに行ったのは、本を見つけてから半年以上経った後、2018年10月のことでした。

初めて受けたレッスンでは、正直なところ何が行われているのかよく分からなかったのを覚えています。それでも、レッスンの終わりにクラリネットを演奏したところ、当初の問題である指の問題については「少し変わるかもしれない」くらいの感触を得ました。しかし、それよりも衝撃的だったのは、私が出した音はこれまで聞いたことがないくらい豊かで、しかもとても楽にそんな音が出せたことでした。私は驚いて、すぐに2回目のレッスンを予約しました。自分に何が起こっているのか、もっと知りたいと思いました。
これが私とアレクサンダーテクニークのリアルな出会いです。


アイルランドでのトレーニング

アレクサンダー・テクニークが自分の問題に役に立ちそうだという感触はあったものの、それを理解するのにはまだまだ私は迷路の中にいました。レッスンにはその後も通っていましたが、私は別の先生に会って違う視点からも学びを得たいと考え始めました。そんな中でたまたまネットで見つけたのが、アイルランド・ゴールウェイにあるアレクサンダー・テクニーク・センターと、そこでトレーニング・コースを運営しているリチャード・ブレナンでした。アイルランドに行ったことはありませんでしたが、ウェブサイトにあった「EUの外からの学生も歓迎します」という言葉に背中を押され、私は連絡をしてみることにしました。

「なぜ、アイルランドに学びに行ったのか?」とよく質問されます。そこには「英語で学んだ方が良さそうだ」という私の考えや、実際に見学に行った際の「学校の環境がすごく好きで、自分に合ってそうだった」という印象があるわけですが、それ以上に、私がこの学校を見つけられた、滞在許可が取り易かった、といった実際的な面で運が良くて、その流れにたまたまうまく乗ることができたからというのも大きいです。

アイルランドの学校では、アレクサンダーテクニークをとてもシンプルでありながら、実践的で、自分に変容をもたらすやり方で学ぶことができました。すべてが人生を変える経験だったと感じています。スクールディレクターのリチャードはもちろん、他の先生方(ダンサーで神経学者のGlenna Batson、俳優のAnnadore Kleist、ヨガの教師でもあるKecia Chinなど)やクラスメートとの実践的なワーク、テクニックに関連したディスカッション、フレンドリーなおしゃべりを通して、多くのことを発見することができました。それにより、自分のしていることや習慣に気がつき、私はアレクサンダーテクニークを人に伝える方法を学ぶと同時に、当初の問題であった指の運動障害(局所性ジストニア )を原因となる習慣を解きほぐしていくことで克服することができました。また、その過程で長年の研究生活・デスクワークで蓄積されていた肩や腰の緊張、頭痛も緩和され、大袈裟ではなく毎日を楽に過ごせるようになっていきました。

私の局所性ジストニアに関する経験は2023年の夏にnote.comというウェブサイトにまとめたものがあります。興味がありましたら、そちらも参考にしていただければと思います。それ以降、今日になっても私の指の調子は良好で、改善を続けています。

『局所性ジストニアを見つめる』: https://note.com/ytatlab/m/mb6a8f5fce399

髙田幸宏アレクサンダーテクニーク研究所について

『髙田幸宏アレクサンダーテクニーク研究所』は、

  • アレクサンダーテクニークによる教育活動
  • アレクサンダーテクニークの普及活動
  • アレクサンダーテクニークをベースにした人間の生活や健康に関する研究活動

を行うことを目的に設立しました。

アレクサンダーテクニークを通して、心身のはたらきが和らぎ、整うことで、より調和した日々を過ごせることを目指し、本研究所は『諧』という字をテーマとして掲げています。